
1.1.
命題と論理演算 5
論理演算子によって新たな命題を作り出すとき、元の命題からの真偽値の変化を一覧化しておく
とわかりやすい。そのように真偽値を一覧化した表を、真理値表という。
この「否定の真理値表」では、次の対応関係が示されている。
否定の真理値表
p ¬p
1 0
0 1
• p の真偽値が 1 のとき、¬p の真偽値は 0 である
• p の真偽値が 0 のとき、¬p の真偽値は 1 である
真理値表を使うと、「否定命題になると真偽が入れ替わる」ことも
瞬時に捉えられる。
1.1.6 論理積と論理和:「かつ」と「または」
2 つの命題を組み合わせて、新たな命題を作り出す操作もある。
その代表例が論理積「かつ」と論理和「または」である。
日常生活での感覚
「かつ」と「または」という言葉は、日常生活でも意外と馴染みのあるものである。
命題としての厳密さを一旦忘れて、日常の感覚で考えてみよう。
1. 晴れていて風も弱ければ散歩に行こう
2. 紅茶かコーヒーをお選びください
1 つめの文章では、「晴れている」かつ「風が弱い」という条件を使っている。
「晴れている」と「風が弱い」という、2 つの条件を両方満たすときにしか、散歩には行きたくな
いのである。
2 つめの文章では、「紅茶」または「コーヒー」という、2 つの選択肢を提示している。
ところで、大抵の人は「紅茶」か「コーヒー」のどちらか片方だけを選ぶだろうが、数学者は両方
を手に取ってしまうかもしれない。というのも、「または」という言葉は、日常生活でのニュアン
スと数学での定義が若干異なるからだ。
• 日常生活での「A または B」:A と B のどちらか一方
• 数学での「A または B」:A と B の少なくとも一方(両方でもよい)
これらの感覚を踏まえて、「かつ」と「または」を数学的に定義していこう。