
Chapter 1
実数の連続性
ε − δ 論法によって微分積分の理論を再定義しても、その議論は実数の連続性に依存している。
この章では、「実数は連続である」、平たく言えば「数直線には穴がない」という表現を観察する。
1.1 区間の限界を表す
区間の最大値や最小値は、その区間の中で最大もしくは最小となる数を指す。
閉区間の場合は、区間の端点が最大値・最小値となるが、開区間では端点を含まないため、「区間
の中で」最大(もしくは最小)といえる数は存在しないことになる。
しかし、「最大値(最小値)がない=区間は限りなく続く」というわけではない。
もしそうだとしたら、次の 3 つの開区間が区別できないことになる。
x
a
b
(a, b) = {x ∈ R | a < x < b}
x
a
(
a
,
+
∞
)
=
{
x
∈
R
|
a
<
x
}
x
a
(−∞, a) = {x ∈ R | a > x}
そこで、最大値・最小値とは別に、区間に限界があることを表す概念を導入する。
1