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CHAPTER 1.
微分と積分
「微分したら元の関数に戻る」関数を求める演算、すなわち「微分の逆演算」として捉えた積分
を新たに定義してみよう。
不定積分
関数 f (x) から原始関数 F(x) を求める演算を、 f (x) の 不定積分 と呼び、次のよう
に表す。
Z
f (x)dx = F(x) + C
ここで、C は 積分定数 と呼ばれる任意の定数である。
1.4.5 原始関数による定積分の表現
少し前に、定積分
Z
x
a
f (t)dt を上端 x の関数 S (x) とみて、x を微小変化させることで、S (u) が f (u)
の原始関数である(S (u) を u で微分したら f (u) になる)ことを確かめた。
REVIEW
区間 ∆x での面積の増分を考え、
S (x + ∆x) − S (x) =
Z
x+∆x
x
f (t)dt
∆x → 0 とすれば、次のような微分の関係式が得られる。
S (x + dx) =
元の関数
S (x) +
導関数
f (x) dx
さらに前節では、「微分したら元に戻る」原始関数は 1 つだけではなく、任意の定数 C を用いた
F(x) + C も、 f (x) の原始関数であることを述べた。
そこで、 f (x) の任意の原始関数を F(x) とおくことにする。
原始関数は任意の定数 C 分だけ異なるので、f (x) の原始関数の 1 つである S (x) は、f (x) の他の原
始関数 F(x) を C 分ずらしたものになるはずである。
S (x) = F(x) + C