
1.5.
三角不等式 5
絶対値の定義から、この不等式の証明を考えてみよう。
a の絶対値 |a| は、a から符号を取り払ったものであるから、逆に絶対値 |a| に + か − の符号をつけ
ることで、元の数 a に戻すことができる。
a が負の数だったなら、−|a| とすれば a に戻る。正の数だったなら、|a| がそのまま a に一致する。
R
−|a| |a|0
|a| |a|
a は原点からの距離が |a| の場所にあり、a は −|a| か |a| のどちらかに一致する。
どちらに一致するかはわからないので、次のような不等式で表しておく。
−|a| ≤ a ≤ |a|
b についても、同じように考えることができる。
−|b| ≤ b ≤ |b|
これらの不等式を使って、さらに式変形を行うことで、三角不等式を導くことができる。
Proof: 絶対値に関する三角不等式
絶対値の定義から、次の不等式が成り立つ。
−|a| ≤ a ≤ |a|
−|b| ≤ b ≤ |b|
両辺を足し合わせて、次の不等式を得る。
−(|a| + |b|) ≤ a + b ≤ |a| + |b|
−(|a| + |b|) ≤ a + b の両辺を −1 倍することで、次の関係も得られる。(不等式の両辺を −1 倍
すると、不等号の向きが逆転することに注意)
|a| + |b| ≥ −(a + b)